浅草、大須と並ぶ日本三観音の一つである津観音(三重県津市)。和銅二(七〇九)年の開山とされるこの古寺には、かつて三重塔があったが、明応七(一四九八)年の地震で発生した津波で水没したと伝えられている。(中略)
平成十三年五月二十七日、津市大門の津観音境内で、五百年ぶりの再建となる五重塔の落慶法要が行われた。(中略)
再建された五重塔は総ひのき造りで、外装は鮮やかな朱色と緑色。高さは新世紀にあやかって二十一bとした。
津市は、タイトルにも書いたとおり、漢字にせよ仮名にせよ、たった一文字の市名であり、TVのクイズ番組にも採り挙げらました。そして、「伊勢は津でもつ 津は伊勢でもつ」と伊勢音頭でうたわれた所でもあります。正式な名称を観音寺(かんのんじ)という津観音に建てられた五重塔は、先に見たとおり未だ10年も経ていない新しいものですが、私は二度この塔の拝観に津まで出向いています。再訪したのは平成14年5月4日のことでしたが、この時は、満開の桐の花が迎えてくれました。この花は、高原をドライブしている時など、ちらっと淡い紫色の花を見せてくれる、どちらかと言えば寂しい花という感じでしたが、境内に咲き誇る古代色とも言うべき紫の桐の花は、何とも言えない雰囲気を醸し出していました。